ステロイドとは?
ステロイドとは、特定の化学構造を持つ脂質(脂肪)の一種です。
動植物の体内で生合成されたり、薬剤として人工的に合成されたりします。
ステロイドの特殊型にステロール(別名:ステロイドアルコール)があり、動物由来の代表的なステロールが、コレステロールです。
つまりコレステロールは、ステロイドの一種ということになります。
ステロイド系と非ステロイド系のホルモン
ホルモンとは、体内の様々な内蔵・器官で生成、分泌され、薬のような働きをする物質です。
人体には20種類以上のホルモンがあり、ごく微量でも大きな影響力を発揮します。
ホルモンを化学構造で分けると、ステロイド系と非ステロイド系の2種類があります。
ステロイド系は、コレステロールから合成されます。
代表的なものは、性ホルモン、副腎皮質ホルモンです。
非ステロイド系はアミノ酸から合成されます。
代表的なものは、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどです。
ステロイド薬とは?
代表的なステロイドホルモンである糖質コルチコイドを、化学的に合成した薬剤を、ステロイド薬といいます。
糖質コルチコイドは、副腎皮質から分泌されます。
副腎皮質とは、左右の腎臓上部にくっついている「副腎」の外側部分です。(内側は副腎髄質といいます)
そのためステロイド薬は、副腎皮質ステロイド薬、副腎皮質ホルモン薬とも呼ばれます。
ステロイドホルモン(糖質コルチコイド)には、強力な抗炎症作用・免疫抑制作用があります。
そのため、ステロイド薬は気管支炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、膠原病などの自己免疫疾患の治療に使われます。
しかし、ステロイド剤を大量に投与したり、長期間継続して使用したりすると、感染症の誘発、骨粗しょう症、糖尿病などのリスクが高まるという重大な副作用があります。
ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)の用途は?
ステロイド薬は、炎症や免疫を抑える働きがあります。
アレルギー疾患(花粉症、アトピー性皮膚炎など)、膠原病(関節リウマチなど)のほか、血液、神経、消化器の疾患の治療にも使用されます。
外用薬は、アレルギー性の皮膚炎など皮膚の疾患に使われます。
また、関節リウマチの塗布薬としても使われます。
内用薬は幅広い疾病に用いられます。
花粉症、腱鞘炎、関節水腫などでは、注射の薬液としてステロイド薬が使用されます。