脂肪・コレステロール・脂質代謝

脂肪とは?

脂肪は炭水化物(糖質)と共に、重要なエネルギー源となる栄養素です。
食物から摂取する脂質の大部分は、「中性脂肪」です。
中性脂肪は、グリセロールという糖質に脂肪酸が3つ結合したもので、「トリグリセリン」と呼ばれています。
この中性脂肪を消化するのが、膵臓から分泌される膵液に含まれる「リパーゼ」という消化酵素です。
また、胆のうから分泌される胆汁が、リパーゼの働きを助けます。
食物として送られた中性脂肪は、グリセロール遊離脂肪酸に分解されます。

体内にある脂肪の種類は?

体内には、次の4種類の脂肪があります。

脂肪酸
体が活動するためのエネルギー源となります。

中性脂肪
脂肪細胞の中に蓄えられます。
必要に応じて脂肪酸になり、エネルギーとして使われます。

コレステロール

細胞膜の構成成分。各種ホルモン、胆汁酸の材料にもなります。

リン脂質

コレステロールとともに、細胞膜の構成成分となります。

脂肪が生み出すエネルギーの量(熱量)は?

各栄養素は、酸素と結びつくこと(酸化)で、エネルギーを生み出します。
炭水化物、蛋白質は1gあたり4キロカロリーに対して、脂肪は1gあたり9キロカロリーです。
脂肪(脂質)は、エネルギー効率の高い栄養素で、主にエネルギーの貯蔵に使われます。

炭水化物を摂り過ぎると、脂肪が増える?

炭水化物の摂取量が多過ぎると、脂肪に転換され、血中コレステロール値や血中中性脂肪値の増加を引き起こす原因となります。

炭水化物が不足すると、脂肪が使われる?

身体の活動エネルギーになる炭水化物(糖質)は、体内ではブドウ糖(グルコース)グリコーゲンの形で貯蔵されています。
肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは、血糖を維持するために必要に応じてブドウ糖になります。
人の体は、最低限の生命維持(基礎代謝)だけでも、毎分1~1.2キロカロリーを必要とします。
(1日の基礎代謝量は、成人男性で1500キロカロリー、成人女性で1200キロカロリーくらいになります)
体内にある糖類を全て使い切っても、7時間しかエネルギー補給ができません。

炭水化物が補給されないと、血糖値は低下していきます。
そこで、血糖値の低下を補うために、蛋白質(アミノ酸)や脂肪を使ってグルコースを作り出します。これを糖新生といいます。
糖新生が行われると、蛋白質の合成が阻害されるという弊害があります。
ダイエットなどで炭水化物を減らしすぎると、筋肉量が減り、基礎代謝が低下して、かえって体重が増えてしまうリバウンドの原因となります。

悪玉コレステロール、善玉コレステロールとは?

食物から摂取した脂肪は、消化酵素によって分解され、小腸から吸収されます。
血液中では、脂肪酸、コレステロール、グリセロール、さらに蛋白質の一種が結合して、リポ蛋白質になります。
リポ蛋白質は、脂質と蛋白質の集まりですが、この二つの比重によって4つに分類されます。
中性脂肪が占める比重が最も多いのがカイロミクロン、次いで順番にVLDL、LDL、HDLになります。
このうち、LDL悪玉コレステロール、HDL善玉コレステロールと呼ばれています。

LDL(低比重リポ蛋白)は、コレステロールが非常に多く、中性脂肪が少ないリポ蛋白質です。
肝臓で作ったコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。

HDL(高比重リポ蛋白)は、蛋白質の比重が高く、血液を巡りながら、全身の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運びます。

血液中の中性脂肪が増えると、善玉と呼ばれるHDLを減らし、悪玉と呼ばれるLDLが増えてしまいます。
すると、余分なコレステロールが回収されず、動脈硬化や高脂血症の原因となります。

コレステロールは、細胞膜の主成分となり、ホルモンや胆汁酸の材料となるなど、私達の生命維持に欠かせないものですが、肉類中心の食生活などで摂取量が多過ぎると、問題が起きることになります。

動脈硬化

血管壁の傷ついたところなどにコレステロールや中性脂肪が付着し、動脈の内径が狭くなったり、弾力を失ったりする状態を動脈硬化といいます。
動脈硬化が進行すると、血管が閉塞して、心筋梗塞脳梗塞のリスクが高まります。
また、血管壁がもろくなり、脳出血を起こしやすくなります。

高脂血症(脂質異常症)

血液中の脂質、特にコレステロールと中性脂肪が、適正な必要量よりも異常に増えた状態を高脂血症といいます。
動脈硬化や高血圧の原因となります。

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